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労働相談に通ってました

冬も終わり、桜も散り、GWも間近に迫ってきましたね。
私も冬から春にかけて抱えていた懸案事項が1つ片付いて、爽やかな気持ちで連休を迎えられることにほっとしております。

懸案事項とは何かと申しますと、大まかに2つ。
同居人の元勤め先の残業代未払いと、社保・年金に入らなければいけない筈が未加入になっていたという件です。

在職中の解決・制度改善には至りませんでしたが、同居人の退職後、様々な手続きを経て、残業代はお支払い頂けることとなり、社保・年金についても在職期間中の加入が認められることとなりました。

この記事では、残業代の請求や社保・年金に加入できるようになった流れについてお話していきたいと思います。

同居人の場合

月給20万円
残業代なし(給与明細に記載なし)
平均的な労働時間約10時間 週6

同居人が当時入社していた会社は社員が10人もおらず、勤怠・給与システムもしっかりしていなかったのか、タイムカードはなく、給与明細は紙、給与は封筒に入れて手渡しという、かなりアナログな所でした。

同居人とは生活費を折半しているので、何度か給与明細を見せて貰う機会があったのですが、

ねえ、控除の欄、なんで所得税しか引かれてないの。。?
社保とか厚生年金は?

しらん

おい

最初は手書きだから色々省略してるのかなと思ったのですが、数か月後に国保や国民年金の督促が来て、社保・厚生年金未加入ということが発覚。

どういう条件で働くことになっているのか確認しようにも、そうした書類は貰っていないと同居人は言いました。

私自身社保や年金のことは詳しくはありませんが、「どちらも週3フルタイム以上の労働時間であれば基本的に入るものでは?」という認識はあったので、流石におかしくないかという話に。
(正確には週の所定労働時間が20時間以上あることが条件のようです。その他色々細かい条件はありますが)

そういう訳で、平日動くことができない&長時間労働で疲弊気味の同居人に代わって、私が色々動くことになったのです。

(退社前から始める)勤務時間の記録と労働相談

とはいっても最初から「さあ色々準備して会社と闘うぞ」という感じではありませんでした。
「週6勤務改善してくれないかなぁ」「社保・厚生年金払ってくれないかなぁ」という感じ。

いずれにしても、こうした事態は見聞きするのも初めてだったのでどう対応するべきかどうか非常に悩みました。

知恵を借りようと友達に相談すると、①労働時間を記録すること、②労基署の労働相談にいくといいというアドバイスを頂きました。

なるほど主張するにも証拠は必要だなと思い、そのあたりからコツコツ記録と相談を行うようになりました。

①労働時間を記録する

LINEや紙の記録を残しておくといいというアドバイスを頂いたので、同居人にLINEで出退勤を報告してもらうことから始めました。

会社についたら「出勤」、退勤時は「退勤」とテキストを送信。
余裕があれば会社の画像(施設内の壁掛け時計や、倉庫が開いているもの)も添付。

週末などにまとめてLINEの出退勤をスケジュール帖に書き出し。LINE記録に抜け漏れがあった場合は同居人に聞き取りした上でスケジュール帖に付記しました。

記載漏れチェックやスケジュール帖を紛失した場合に備え、念には念を入れてGoogleカレンダーにも記載。

そんな感じでひたすら記録しました。

②労基署の労働相談にいく

労基署は平日のみ営業を行っているので、有休を取得。
労働相談は予約不要だそうなので、必要な書類(給与明細、出退勤記録のスケジュール帖)と勤務時間記録を持っていくことにしました。

初回相談時はシートを記載するように言われ、当事者の氏名、当事者との続柄(親、配偶者、友人など)、現在の状況や相談内容などを書きました。

担当してくださった職員さんはまずはじめに、最終的に会社にどうして欲しいかということを聞かれ、「週6勤務の改善」と「社保・厚生年金の支払いをして欲しい」ということを伝えると、難しい制度のことを丁寧に説明してくださった上で、以下のことを仰っていました。(かなり意訳してます。)

週6勤務を減らすということは難しいですが、残業代や休日出勤分の請求はできます。

社保・厚生年金の支払いを行うというのは会社がどういう契約で雇用しているかによります。社員扱いだとしたら請求は可能でしょうが、もし下請けという形で雇用されているとしたら請求が難しい場合もあります。いずれにしても労働条件通知書を請求して、どういう形で雇用されているのか確認した方がいいですね。


ただ、下請けの契約であったとしても、労働者性が認められれば社保・厚生年金に入る必要性があると認められるかもしれません。

現時点では会社に改善を求める方針のようですが、話を聞く限りかなりひどい会社のようなので、難しいかもしれません。転職活動などにエネルギーを割くことをオススメします。

その他にも色々アドバイスを頂き、持ち帰って同居人に話しました。

最初に相談に行った時点では、同居人はまだ退職ということを具体的に考えてはおらず、週6勤務で転職活動も現実的に厳しかったため、とりあえず労働条件通知書を請求するということで纏まりました。

同居人は客先に行くことが多く、話をするタイミングがつかめないとのことで、代理で私が請求の電話をすることを請負いました。

(在職中にやること)代理人として労働条件通知書を請求する

そもそも労働条件通知書とは

労働条件通知書とは、企業が労働者と雇用契約を結ぶ際に、労働条件を明示するために交付する書面です。
労働基準法で労働条件の明示が義務付けられており、書面を発行しないと違法になります。

まあ同居人の元勤め先は労働条件通知書、発行していなかったのですけどね。

(そんな違法状態がまかり通っている会社が今時あることに驚きですがそれはさておき)
なので、同居人自身、本来の勤務時間や雇用形態(正社員か、契約社員か)、残業は単純にサビ残扱いなのかみなし残業制なのかも全く分からなかったのです。

代理として請求する前に委任状を作成

「基本的に客先を回ることが多く、本人が労働条件通知書を請求するのは難しい。もし代理として請求することは可能か」
ということを労基署の職員さんに相談したところ、同居人の名前を騙ったと誤解されるといけないから、予め委任状を作成した上で請求するとよいとアドバイスされました。

委任状を作成した日付、代理人の氏名・住所、どういう事柄を委任するのか、委任者の氏名(手書きで)・住所を書いた簡単なものを、万が一会社から「委任されたという証拠を見せて欲しい」と言われた時に備えて印刷して持っておきました。

電話にて労働条件通知書を請求

請求前に、本人の意向とも逸脱してはいけないので、下記のようにざっくり何を話すかをメモして電話前に確認して貰った上で電話しました。

実際、慣れない電話をするとかなり焦りますし、話の大枠や、必ず話さなければいけないことはメモしておいて良かったと思いました。

その時は社長が不在で事務方が応対してくださり、(労働条件通知書が何かあまりよく分かっていない様子ではありましたが)了解したとのことで、私はひとまずほっとしたのですが、そのことを後で聞いた社長は「労働条件通知書なんてものは聞いたこともない」「契約が入ることでチームワークに悪影響が」「一回労働条件通知書が本当に必要なのか考えて、本当に欲しかったなら改めて言って」とのたまい、ものの見事にちゃぶ台をひっくり返してくれたわけです。ええ。

まあそのおかげで、同居人も「流石にこんな会社にはいられない」と退職の決心をしてくれたので、この電話は(会社のヤバさを露呈させるという意味で)無駄ではなかったなと思いました。

ちなみに後日改めて同居人が「労働条件通知書下さい」と申し入れたものの、「いまルール作ってるから」という謎な理由で交付が伸びに延び、そのまま退職したので結局労働条件通知書は貰わずじまいでした。

(退職後にやったこと)年金事務所に調査依頼、未払い残業代の請求

そんなわけで、
「出退勤の記録は数か月分あるものの、労働条件通知書なし。」
どういう雇用形態かも不明。」
雇用保険にも入ってなかったので失業給付もなし」
というないない尽くしの状態で退職を迎えました。

ただ、労基署の職員さんとの相談の中で、同居人の元勤め先は本来ならば強制適用事業所(事業主や個人の意思、企業の規模・業種に関係なく、健康保険・厚生年金保険への加入が義務付けられる事業所)にあたるのではないかということ、それらは年金事務所に調査を依頼することができると教えて頂きました。

退職後でもそうした調査の依頼は可能とのことで、もし退職することがあれば、その時に調査を依頼しようと決めていました。
もし同居人が健康保険・厚生年金に本来入るはずだったということが判明すれば、遡及して加入できることに加え、その期間支払っていた国民健康保険料と年金は戻ってきます。
(ただし社会保険に入り直すにあたってその分の保険料を徴収された後に、二重払いとなった分の戻りがあるので、最初にそれなりに持ち出しが発生します。)

「失業給付が貰えない分、こういう手続きは抜かりなくやっていかないと!」と意気込んで同居人と年金事務所で調査を申請したのですが、窓口の職員さんがサクサク手続きを進めて下さって、思いのほか調査依頼はアッサリ終わりました。
源泉徴収票と給与明細をコピーして、申請書に氏名住所と調査する会社名を記載して、後は結果を待つだけ。
数週間後に「〇月~〇月(在職期間)まで社会保険に加入を認められました(意訳)」と記載された書類が届き、元勤め先を通して支払い、遡って加入することとなりました。

逆に残業代の請求はかなり苦労しました。

何せ労働条件通知書がないので、時給換算でいくらかも分からない。なので割増賃金も元勤め先の場合はいくらになるかも分からない。
残業代込みの給与として支払っている想定で計算すると最低賃金を下回る時給が出てくるので、その想定の場合は基本給から見直す必要が出てくる。などなど。。。

労基署の職員さんに計算方法を色々ご教示頂き、最終的に最低賃金時間額を時給と仮定して、残業時間と休日出勤時の労働時間の合計を割増で乗算して残業代を算出しました。

念のため労基署の職員さんに不当な請求になっていないか、過大請求になっていないかチェックして頂き、修正ののち残業代の請求書を郵便証明で送付

もし1週間以内に残業代の支払がない場合は残業の記録などの証拠を持って労基署に通報する手筈になっていたので、会社側の返事を待つ間、そのための資料もまとめました。
(幸い期限内に残業代はお支払いいただけたので、通報用の資料は使わずに済みましたが。)

今回お世話になるまで、労基署に通報したら調査も何もかも全部労基署にお任せかと思っていたのですが、実際は通報前に自分で証拠集め・提出を想定して整理しなければいけませんし、残業代の請求などは一度会社に請求を行う必要があります。

会社側はいい顔をしませんし、悪くすれば嫌がらせと取られて、請求の意味を理解いただけない場合もあります。

労基に通報と言うのは簡単ですが、実際やってみようと思うと、その手続きはなかなか楽じゃないなと思った今回の件でした。

同じ悩みを抱えているかたに

もしもこれを読んで下さった方で、同居人のような状態で悩んでいる方がいるのであれば、出退勤記録をとることと、一度労基署に相談に行くか、誰かに代理で相談に行ってもらうことをオススメします。

労基署の相談は本人と親族かどうかを問われないので、親族以外にも友人や恋人でも代理で相談に行くことができます。
相談したことが会社にバレるということはありませんし、割増賃金の計算方法や、現在の労基法と照らし合わせてその会社の対応がどう問題かなど、専門的なアドバイスが無料で受けられます。

「なんでフルタイムなのに社保入ってないんだろ。そういうものなのかな」
「毎日〇時間サビ残になってるけどこれってどうなんだろう。皆そんなもんだって言ってるけど。。」

そういった疑問やモヤモヤにも答えて下さるので、あんまり身構えず気軽に行ってもいいんじゃないかと思います。
その時に出退勤記録も併せて持っていくと、労基署の職員さんも現状把握しやすくなるため、かなり的確なアドバイスを頂けますよ。

そして最後に、最初にアドバイスをくれた友人と、最初から最後まで労働相談を受け持ってくださった労基署の職員さんへ。
本当にありがとうございました。